水素生成方法の違いで還元力は変わるの?
株式会社アースエンジニアリング 橋本勝之会長著書から引用させて頂きます。
水素発生方法と異なる還元力
吸入用水素の生成方法には
①電気分解方式
精製水を電気の力で科学的に分解。水(H2O)は二つの水素原子(2H)と一つの酸素原子(O)が結合して出来ています。
電気の力で分解すると水素(H)はプラスの性質を持つ水素イオン (H+)になって陰極側に集まり、陰極から電子を受け取ることで水素原子になります。
主にこの反応を利用して水から水素を生成するのが電気分解方式です。
②化学反応方式
酸化カルシウムやマグネシウムなどと水を科学的に反応させることで水素を発生させる方式です。
たとえば酸化カルシウム(CaO)とアルミニウム(AI)を使う方法では、酸化カルシウムと水を反応させることでまずアルカリ性の水酸化カルシウム(Ca(OH2))を生成します。
これにアルミニウムを加えると水素が発生するのです。
マグネシウムを利用する場合には主に、水素を吸着させた水素化マグネシウム(Mg(OH2))を水と反応させることで水素を発生させます。
いずれも簡単な容器のみで反応を起こすことができるのですが、生成できる水素の量が少ないため、水素ガス濃度はかなり低めになります。
③加熱方式(IH)
常温では液体として存在する水を加熱すると、気体である水蒸気に変わります。この水蒸気をさらに加熱することにより、水素と酸素に分離することが出来ます。
加熱方式には主にIHと電熱方式があります。IH方式は高周波電流により熱を発生させる加熱方法で、最近では調理器具などにも広く使用されています。
電磁波を発生させるため、健康への影響を指摘する声もあります。
④加熱方式(電熱)
水蒸気を加熱することで水素と酸素に分解する方法ですが、IHとは異なり電熱線により熱を発生します。
コンスタントに高熱を発することができるため、水素ガスを安定的に生成することが出来ます。
還元力が異なる「原子状水素」と「分子状水素」
前述のように吸入用水素の生成方法には様々なものがありますが、水素の質ーすなわち健康効果は主に(還元力)によって評価することが出来ます。
還元力とは酸素と結びつこうとする力を指します。
水素は通常、酸素など他の原子と結びついた状態、もしくは水素原子同士が結びついた 「水素分子」という形で存在します。
不安定な付帯電子を持っているため「水素原子同士もしくは他の原子と結びついて安定しょう」とする性質が強く、単一の「水素原子」として存在していることは稀なのです。
この存在が稀な水素原子は「原子状水素」と呼ばれており、水素分子に比べてはるかに酸化還元力が強いことが知られています。
「安定しよう」とする性質が強い分、反応性が高いのです。
例えば酸素分子(O2)と水素分子(2H2)が結びつくと水(2H2O)が出来ますが、通常この反応を引き起こすためには着火して爆発させる必要があります。
ところが「原子状水素(4H)」なら、常温のままでも酸素と反応して、水分子を作ることが可能なのです。
「原子状水素」の高い反応性は酸素だけではなく他の物質と結びつく際にも働きます。
そのため「原子状水素」は一般的な水素分子に比べ、活性酸素を無害化したり酸化した脂質を還元したりする作用に優れているのです。
摂取できれば、より強い健康効果が期待できるワンランク上の水素と言えます。
ただし「原子状水素」には「生成しても、すぐに無くなってしまう」という特徴があるため、摂取方法によっては殆ど取り入れることが出来ません。
特に水素水や水素風呂で「原子状水素」を効果的に摂取することはかなり困難です。
水素原子は生成された直後から、ペアとして結びつくことで水素分子になろうとします。
この反応は非常に素早く起きるため、「原子状水素」の半減期は1/3秒程度とされています。生成された水素原子は1/3秒で半分になってしまうのです。
1秒経てば1/8、2秒経てば1/64ですから、10秒もあれば「原子状水素」は殆どなくなり、反応性の弱い水素分子ばかりになってしまいます。
飲用の水素水は水素を発生させ封入してから、摂取するまでにかなり長い日時が経過しているため、封入時に「原子状水素」が含まれていたとしても、飲用する時点では殆ど残っていません。
水素風呂は発生直後の水素に触れることができるため、「原子状水素」の摂取という意味では、飲用の水素水に比べ優れています。
ただ肌からジワジワと浸透するのを待たなければならないため、数秒で激変する「原子状水素」を体の奥まで取り入れる方法として最適とは言えません。
発生直後の「原子状水素」を高効率で吸収するには、水素ガスの吸入が適しています。
加熱生成された水素は還元力が高い
市販されている吸入用の水素ガス発生装置については一般に「水素ガス濃度が高いほど健康効果が高い」とうたわれていますが、これは正しい視点とは言えません。
健康効果をもたらすのは還元力であり、その基準となるのは「発生した水素のうちどれだけがラジカルな原子状水素のまま摂取できるか」というポイントです。
その点において勝るのが加熱方式で水素を生成する機器です。熱エネルギーを与えられた水素はラジカルな状態を保ちやすいという特徴があります。
加熱方式の水素ガス発生方式は濃度に関係なく高い還元力を実現できるのは、大量の原子状水素を吸入できるためではないか、という声が研究者からも寄せられています。